銀河鉄道999
フジテレビ系局で、1978年9月14日~1981年4月2日に全113話+総集編を放映。東映動画製作。文化庁推薦作品にも選出され、3本のスペシャル版が改編期に放映される好評を得た。なお劇場アニメ版製作の決定はテレビシリーズ放送開始前に決まっていた。
アニメ化にあたってはさまざまな工夫がなされた。チーフディレクター・西沢信孝がこだわったのは旅をする鉄郎の内面をどう表現するかであった。以下に例示する。
1. 意図的に色調を全体的に暗くすることで、鉄郎が訪れる惑星で直面するさまざまな出来事に対し、悩みや疑問を抱く鉄郎の心理を表現。
2. 鉄郎への感情移入を視聴者に促す演出として、『宇宙戦艦ヤマト』にもみられた女性スキャットの挿入、叙情的なバイオリンの音楽を多用。
3. ナレーター・高木均によるエンディングでの朗読。その時間に1分とることで作品を締め、話を盛り上げ、幻想的な雰囲気作りを行った[1]。
これらに加え、声優陣の熱演などの甲斐もあり漫画版同様の長期シリーズとなった。そのストーリーのほとんどは漫画版を「原作として」トレースするスタイルであったが、低年齢視聴者への配慮として過激な表現などは抑えられた。[2]また、漫画版のストックが尽きた際には、別の松本短編作品をアレンジしたアニメオリジナルエピソードなども盛り込まれた(#放映リストも参照のこと)。なおテレビアニメ版の最終回は漫画版終了前の放送であったため、漫画版の結末とも映画版の結末とも違う独自の展開となっているが、終着駅の消滅とそれに伴うプロメシュームの死、メーテルとの別離という基本軸は踏襲されている。
次回予告を車掌役の肝付兼太が行い、最後に「次回の銀河鉄道999は、(次回タイトル)に停まります」で締めることが定番であった。例外として、新番組予告の際には「(タイトル)は、いよいよ出発進行!」で、最終回予告の際には「(タイトル)に到着します」でそれぞれ締められている。また、最終話(第113話)のみ、冒頭で表示されるサブタイトルの読み上げも行っている。
1993年末、日本テレビにおいて3日連続で「歳末波動砲! 松本零士スペシャル」と銘打ち、「ザ・コクピット」のOVAと共に、「永遠の旅人エメラルダス」をのぞくテレビスペシャル2本が放映された。1996年には同局にて4月から9月にかけ、本シリーズの再放送も行われている(時間帯はともに16時台。本放送と異なる局で放送できたのは、フジテレビが再放送権を喪失したため)。
劇場版との世界観の相違
後述のりんたろう監督作品である劇場版アニメが冒険活劇、青春ものの作品としてまとまっているのに比べると、原作からのトレースが多いこのTVアニメ版は、男女間の恋愛や家族愛による人間同士のつながりと、その反面として人間(多くの場合は大人)が陥りがちな愚かさや孤独、弱さがより強調されたエピソードが目立つ。こうした設定の背景として、格差社会や死の運命、時間の流れなどがもつ不条理さを描いている。また、人間による植民地支配や奴隷制、独裁国家の歴史を下地にしたと思われる表現も多く見られるほか、一部の挿話で公害やゴミ問題など人間社会の負の部分を取り上げ、行き過ぎた近代化への警鐘を促した描写も見られた。
エメラルダスやハーロックなど、他の松本作品のキャラクターが登場するエピソードもあるが、彼らが前線で目立った活躍を見せていた劇場版に比べると、TVアニメ版ではそれぞれ偽者や代理に乗っ取られており、直接戦闘にも加わらないなど、さほど目立たない存在となっている。
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