機動戦士Ζガンダム
『機動戦士Ζガンダム』(きどうせんし ゼータガンダム、MOBILE SUIT Ζ GUNDAM)は、サンライズが制作した「ガンダムシリーズ」のテレビアニメで、名古屋テレビをキー局としてANN系列で1985年(昭和60年)3月2日から1986年(昭和61年)2月22日まで全50話が放送された(放送時間帯は毎週土曜日17:30 - 18:00)。『機動戦士ガンダム』の続編にあたる。監督は富野由悠季。
宇宙世紀0087。一年戦争(地球連邦とジオン公国の戦争)終結から7年後の世界が舞台である。
ジオン公国軍に勝利した地球連邦軍は増長しコロニーに対し再び支配と圧力を強めていた。やがて、地球連邦軍内部に「ジオンの残党狩り」を名目にスペースノイドへの強権的制裁を加えるエリート部隊「ティターンズ」が創設された。ティターンズはその思想を背景に急速に勢力を拡大させていき、これに反発する一部の連邦軍人やスペースノイド達は反地球連邦政府組織「エゥーゴ」を結成する。やがてエゥーゴがティターンズの拠点、「グリプス(グリーンノア)」を襲撃しコロニーの住民カミーユ・ビダンはその戦闘に巻き込まれていく。
劇中の物語はここから始まり、エゥーゴとティターンズの戦いを主軸に、地球連邦軍、さらにザビ家残党(元ジオン軍の一派)が結成した軍事組織アクシズ(後のネオ・ジオン軍)の動きを絡めて描かれていく。
監督である富野由悠季は元々ガンダムの続編を作る意志はなかったという。だが、『戦闘メカ ザブングル』、『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』と制作され続けてきたサンライズ/監督・富野のロボットアニメはガンダムブームに比べると商品としては凋落傾向にあり、さらに米国で大ヒットしたトランスフォーマーの上陸も重なった。スポンサーであるバンダイが打開策として企画したのが本作である。
前作から主人公が変更され、前作の登場人物は年齢を重ねて再登場し、また時代の変化によって立場や考え方が変わったものもいる。
前作の「連邦対ジオン」という明快な図式に対して、本作は連邦軍内部の派閥対立を中心に、ジオン残党アクシズが絡んでくる複雑な構図となっており、政治的要素が増えている。
前作に多くみられた戦闘シーンでの駆け引きが減り、ビームライフルの撃ち合いが中心の戦闘が多く描かれた。
ナレーションは劇中でヘンケン・ベッケナーを演じる小杉十郎太が担当した。前作のように戦況を解説するナレーションは少なく、主に本編冒頭のモノローグ、前回のダイジェスト、次回予告が中心であった。次回予告は毎回、「君は、刻(とき)の涙を見る」[1]というキャッチで締めくくられた。また、キャスト欄での小杉のクレジット表記は登場人物のヘンケンではなく、ナレーターである。
なお「ゼータ」に当てられる文字として読みの上で正しいのはギリシャ文字の"Ζ" であるが、入力の容易さ・形状の類似からラテン文字の"Z"(ゼット)が代用されることが多い。なお"Z"は数字の2にも形が似ており、「ガンダムシリーズの第2作目」という意味と、ギリシャ文字の6番目ということからシリーズ第1作『機動戦士ガンダム』の放映開始(1979年)から6年後という意味合いをこめて命名したと説明されていたが、先述のとおりアルファベットの最後の文字であるZにも酷似していることから、富野は「ガンダムはこれで終わりにする」という意味を込めたとインタビューで答えている。
かつて富野はこの作品を大変嫌っており、2000年以降のNHKの番組に出演してZの映像が流れた際「今初めて見直しました」と語った。
準備稿のタイトルは、「逆襲のシャア」であった(後述の小説版参照)。
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